Skip to Content

鉄道総合技術研究所×クレッセント

高速鉄道の乗り心地をささえる研究技術 〜快適な車内空間を提供〜

誰でも一度は乗ったことがあるであろう新幹線。現在では、時速300キロを超える程のスピードを誇る。平日には、ビジネスマンを乗せ、連休にはファミリーを乗せ、日本中を駆け巡っている。新幹線を筆頭に高速鉄道は、まずは絶対的な安全性。それに加えて、“いかに早く移動するか”も大事なファクターであり、また同様に“いかに快適に過ごすことができるか”も重要視されている。高速で移動するには“振動”がつきものだ。では、その“振動”の緩和にはどのようなメカニズムが隠れているのだろうか。

 


取材にご協力頂いた中川千鶴博士

 

今回は「車内振動騒音評価シミュレータ」により、列車内の振動と車内音を正確に再現・検証し、利用客にいかに快適に車内空間を提供するかを研究している公益財団法人 鉄道総合技術研究所にお邪魔して、同法人の人間科学研究部 人間工学 主任研究員の中川千鶴博士(以下:中川博士)にお話をうかがった。

 

■車内振動騒音評価シミュレータ


車内振動騒音評価シミュレータは、上下・左右・前後の3方向に、1~50Hzまで加振可能な水冷方式の導電型振動台を吸音防音壁で囲った装置。また、壁面埋込スピーカーにより、20~20kHzの低周波音を含む音場再現が可能だ。この装置を被験者に体験してもらい、アンケート形式でデータを収集し、実際の運用に有用となるデータを蓄積していく。なお、この装置研究の一部は国土交通省の補助金を受けている。

—被験者の方はどういった方ですか?

中川博士「被験者は関係者のこともありますし、一般の方にお願いすることもあります。去年の12月は70名程の一般の方ににいらしていただきました。被験者の方は、できるだけ母集団が均一に(年齢・性別等)なるように募集します。

 

■シュミレータを構築した理由


—単純に大型スクリーンで映像を映し出すシステムでも実験できそうだと思いますが、なぜヘッドマウントディスプレイやモーションキャプチャシステム「VICON」、3Dコンテンツ開発ツールである「3D Virtools」を使用されたのでしょうか?

「実際にここに大型スクリーンがあって映像が映し出されたとしても、車内だと思えないですよね?この実験室とは別に12人乗りのライド型のシミュレータもありますが、そこは、実物を使って車内が再現されていて、車窓風景として外側の大きなスクリーンで映し出すことができるのですが、こちらの実験室ではスクリーンに車内の映像が映し出されても“画”でしかなく、また音場もゆがめてしまうので、装着形(ヘッドマウントディスプレイ)にした経緯があります」

2006年からはじめられた実験であるが、当初は「振動」のみによる実験であったが、2008年からは「音」が加わり、2009年から「映像」も加わり、2010年で完成した。この2009年からのビジュアルは全てクレッセントが担当した。提供されたのは「VICON」と「3D Virtools」によるビジュアルや振動と連動したシステムだ。

中川博士「クレッセントさんには、2パターン開発して頂きました。2009年の最初の時は、新幹線の座席に座っている画を作って頂きました。これは実際の乗車場面をリアルに再現したものです。翌年には速度感をより得やすいように、新幹線の展望席という、実際にはない画を作っていただき、視覚影響が振動や音の印象にどう影響するかを調べました。人間の評価用に、これほどの精度で振動と音が再現でき、視覚情報も提示できる装置は、国内はもちろん、世界的にもめずらしいものだと思います。」

 

■システムの有用性


—なぜ、実際の電車の実験だけでは駄目なのでしょうか?

中川博士「(実際の電車では)全く同じ条件で評価するというのが厳密には不可能なんです。例えば、ある車両に40人の被験者が乗ったとしても、座っている場所によって振動が違いますから。評価を作成するときは100人近い数でデータを蓄積していくのですが、そんな時にこのような装置で繰り返し全く同じ条件でできるということは有用ですね」

—そして、あらゆる条件に設定を変えられるわけですね。

中川博士「そうですね。ありえないものをつなぎあわせることも可能ですね。在来線と新幹線とを連続して比較・評価するなど実際には困難だったり、不可能なことも可能です」

 

▼鉄道総合技術研究所

http://www.rtri.or.jp/

 

● この記事、会社情報は2011年10月の取材構成を基に構成されています。その後変更となっている場合もございますのでご了承下さい。 ● 記載された会社および製品名は、各社の登録商標または商標です。