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映画VFX制作における、4DViews導入事例

2012年6月2日公開の映画
「ファイナル・ジャッジメント(The Final Judgement)」
で効果的に使用された4DViews事例

「ファイナル・ジャッジメント」は、アジアの(架空の)大国オウランが日本を占領、植民地化、それを救うために一人の若き政治家が立ち上がるというストーリー。
本作でテクニカル・プロデューサーを担当しているピクチャーエレメントの大屋哲男氏のサポートで参加した同社取締役VFXプロデューサー道木伸隆氏によれば「短期の制作体制の為、同時進行で各社に得意な分野を担当してもらいたかった」という理由から、ピクチャーエレメントがカラーグレーディング、データ管理、本編集、マリンポストが今回のトピックである渋谷、日本映像クリエイティブが森、シネグリーオが悪魔、キュー・テックが瞑想シーンなどをそれぞれ担当した。中でもストーリー上重要なのが渋谷スクランブル交差点での大群衆に囲まれた中、主人公が演説をするラストシーン。担当したマリンポストの取締役VFXスーパーバイザーの諸星勲氏、CGクリエーターの太田聖史氏、前出道木氏、そして本作のVFXスーパーバイザーとして総指揮を行なったVFXJAPAN代表理事でもある、4Dブレインの秋山貴彦氏に話を聞いた。


写真左から道木氏、秋山氏、諸星氏、太田氏

■ 4DViewsを使用した理由


「まず渋谷が劇中の舞台として何回も登場するのですが、現実問題としてクレーンなど持ち込んだ撮影が不可能なので、そういう大掛かりなシーンを撮るために福島県いわき市の工場跡地にスクランブル交差点を再現したオープンセットを組みました。と言ってもさすがにビルまでは作れないので、地面と一部の建物の一階部分だけを作り、それ以外をブルーバックで囲み、CGでセットエクステンションするというプランです。CGで作った渋谷の街が複数のショット(約50カット)で合成される為、様々なカメラアングルで歩く群衆の表現が必要でした。カメラが動いているシーンの背景に群集を合成する手法としては、モーションコントロールを使って実写を撮るか、3DCGで作ったバーチャルアクターを配置するかなんですけど、第三の選択肢として4DViewsを使うことを提案しました。この映画のラストシーンでは、はじめから目を引くVFXをやろうという意図があったので、制作当初からかなり入念に計画を練り、特に主人公の顔のアップから100mほど引きながら3次元的にカメラが上昇してゆくショットでは、4DViewsの真価が発揮されたと思います。」(秋山氏)。

 

■ 4DView制作ワークフロー


1)プリビズ
プリプロダクションの期間が約一ヶ月半と非常に短かい中でも、プランニングをきちんと行うためにプリビズを作る作業が重要だった。現場に入る前にスタジオにバーチャルカメラを持ち込んで、撮影監督の谷川氏に仮想の渋谷の空間でどのようにカメラを動かすかというシミュレーションをやっていただいたことが非常に効果的だった。

2)実写ロケ撮影 (画像A:背景プレート)

2011年11月から2012年1月までの約二ヶ月半。前述した福島県いわき市のロケをはじめ、静岡県富士山麓、千葉県木更津市、東京都内6か所で行われた。


画像A:背景プレート

3)4DViewsスタジオ撮影 (画像B)
福島県のロケ地では約700名のエキストラを集めてプレート撮影。更なる大群衆にするためにクレッセントの4DViewsスタジオで約30名のエキストラが3回着替えをし合計90パターン撮った。

 
画像B

4)ポスト処理(4DViews)
クレッセントが約三カ月かけてデータ処理を担当。

 

5)Boujouによるカメラマッチムーブ
マリンポストで作成した、カメラデータと街並のラフモデルをクレッセントへ。エキストラを配置する作業とセットモデリングを並行で進行。約二週間。

 

6)Maya上で4DViews専用プラグインを使用して、各人物データをロード。移動値のオフセットを作成。

 

7)3Delightを使用して、移動している人物をRIBアーカイブファイル化。

 

8) Massiveの使用による群集レイアウトの効率化 (画像C、D)
約2000人の観衆をMassiveで配置。カットに合わせ群集の位置や向き、アニメーションのタイミングを調整。

 
画像C

画像D

9)3Delight For Mayaを介して、Maya上にMassiveからの群集データを持ち込み、Mayaで設定したカメラ、ライティングを使って群集をレンダリング。

 

10)9)の素材は3Delightによって、カラー、ディフューズ、地形に落ちるシャドウ、デプス情報などを出力、マリンポストがAfterEffectsで合成。(完成画像E)

 

6)から9)までの作業をクレッセントが担当、並行してマリンポストは渋谷の街の作りこみ作業を行った。

 

「(5)の段階でお渡ししたものは簡単な街並のデータでした。最終的には(ストーリー上)占領後の全く変わった渋谷の街並みを実際にできあがった美術セットとすりあわせながら配置し直さなければいけない。それを監督、秋山さんとデザイン面含めて話し合いながら作業を進めていました。CGのカメラの動きになってから最終的にどこまで引くか、そのスピード感など秋山さんと何度も試行錯誤しました。その過程でレイアウトやカメラワークが変わるたびに(クレッセントに)データをお渡しして群集の配置やタイミングを変えてもらいました」(諸星氏)。

 

「(9)で4DViewsのレンダリングレイヤーを15のエリアに別けて出力してもらい、それが約60レイヤー。前半は2K、後半はデジタルズームが入るので3Kで出力してもらいました。実際の撮影ではカメラが18mmで引ける限界があり、最終的に8mmまで超広角に引く状態にしなければいけなかったので、その際に生じる画面の歪みの調整が大変でした。そこを4DViews素材に助けられたというのはあります。4DViews素材がない状態の渋谷はやはりCGっぽい画になっているのですけど、4DViews素材を入れたことにより実写に近い画になりましたね」(太田氏)。