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導入事例:株式会社モズー(その2)

 竹原氏はその後ゲーム制作会社 サクノスに移籍し「クーデルカ」のMoCAPを担当し、アメリカで撮影を行なったり、制作会社 D3Dではモーションの専任として「ファイナルファンタジーX」イベントキャプチャチームのリーダーを担当するなど、様々な現場を経験し常にリアルなアニメーションを作る上げるためのノウハウを蓄積していった

竹原氏が手がけたプレイステーション用 RPGゲーム「クーデルカ」。     

1999年の発売だが、CGのクオリティはもちろん、竹原氏がモーションデザイン

を担当しこだわり抜いたMoCAP撮影によりリアルなアニメーション実現した。

  MoCAPのシステムには、動きを撮影するカメラに加え撮影データを最適化してアニメーションにするためのソフトウェアが必要となる。このソフトウェアとしての代表はKaydara社 のMotionBuilder(同社はその前にFiLMBOXという製品名でリリースしていた)がある。そのためMoCAPを行なうには、カメラ、MotionBuilder、そしてSoftImage、Maya、3ds Maxなどの3DCG製品との連携を考慮しワークフローや座組みといったチームの構築も必要となる。このワークフロー構築がクオリティを生み出すため、竹原氏はカメラというハードウェアからMotionBuilderや3DCGといったソフトウェアを含めシステム全体を取り纏めていった。

 

「1999年にFiLMBOX2.0がリリースされ徐々に浸透する気配がでてきましたが、MoCAPの効果的な活用、という単純ながら大切な事が取り残されていたと感じたので、付き合いの会った代理店さんを通じてセミナーを開催したり雑誌に記事を書いたり、解説書の作成など認知活動をとにかく広く行なっていきました。

 認知活動を行ないながらワークフローの構築も並行して手がけていきました。このワークフロー構築で参加させていただいた作品に「ファイナルファンタジーX」や「アップルシード」があります。

 MoCAPのシステムやワークフローを構築しながら、自分達でもスタジオを作りたいと思い始め、一緒に活動していたD3D 渡辺 伸次氏、棟方 さくらさん、株式会社 ケイカ 由水 桂氏の4人で2004年9月にモズーを設立しました。」

 竹原氏を始めとした3名でモズーを立ち上げた後、ゲームや映画、CM等のエンターティメント分野はもちろん、学術研究など色々な業界でMoCAPの認知も高まり採用される範囲も広がってきたが、この背景には竹原氏のように認知や制作実績をこつこつと積み上げてきた結果があった。

 

総面積: 270坪
システム:光学式モーションキャプチャシステム Vicon/MX40×30台、Mcam2×24台撮影対象エリア:15m×8m×高さ4m(メインスタジオ)2m×2m×高さ2m(フェイシャル専用スタジオ/防音ブース)
 

 設立後MoCAPのプロフェッショナルチームとして、様々な撮影依頼がくるようになったが、2007年には日本で始めて馬のMoCAPの撮影を行い、半年をかけ完成させている。

 馬のMoCAP、これは2009年5月1日に公開された、紀里谷和明監督 映画「GOEMON」のために実行されたプロジェクトであった。

 

映画 「GOEMON」馬のモーション撮影 〜棟方 さくらさん〜

 モーションキャプチャは、CGのキャラクタに動きを入れるために使うというのが通常の考え方であるが、CGのキャラクタは必ずしも人間ではなく、モンスターというケースも珍しくはない。しかし、この場合でもモーションアクタが演ずるアクションをCGのモンスターに適用していくため、人の動きを撮影する点では変わる事はない。しかし、映画「GOEMON」では、カメラアングルが取れない、または細道を疾走するシーンなどでは馬が走るとその距離だけグリーンバックが必要になる等現実的に撮影が不可能なカットがあり、また馬の動きは手付けで行なうには制作期間とノウハウに不安もあった。このような経緯からMoCAPが採用されたが、この撮影は日本初の試みであり、成功させるにはモズーが今まで蓄積した技術と経験が必要とされた。

 

 この撮影を全編に渡り担当した、テクニカルディレクタ 棟方 さくらさん(以下 棟方さん)は馬のMoCAPについてこう語った。

 

「実は今までも動物のMoCAPをしたい、という問い合わせはあったのですが仕事として実現はしませんでした。でも、ハリウッドでは馬のMoCAPは行われていますので、日本でもいつかは挑戦してみたいと思っていたところに、お話があったので嬉しいタイミングでした。ただ日本ではほとんど実績がないので、出来る限り事前準備をしたいと思い、馬の骨構造からボーンの設定決めていきたかったのですが、世界中に馬の骨構造を参考とする解剖図は1つしかない、という事実がわかりました。つまり、ハリウッドでも馬のMoCAPをする場合には、この資料が頼りになるので出来るはずと考えボーンの設定を組上げていきました。それでも、何か事前にできる事を考えて、このスタジオで犬をキャプチャしてみたり、実験はしていました。(笑)ロケハンも2-3度行い実際に馬を見てマーカは直接体に貼ることにしました。が、馬はかなりの汗っかきなので、医療用の強力な両面テープを使い走っても取れないように工夫しました。実際に馬を見てみないと判らないことも多かったですね。」

 

 

取締役 Mocapテクニカルディレクタ 棟方さくらさん。

映画「GOEMON」のMoCAPでは半分以上の業務を1人でやり遂げた。宇宙工学の世界からプログラマを経てCGに転向。MoCAPにおいても、ダイナモ、IBUKI、MOZOOと3つのスタジオを立ち上げ、スタジオディレクターとして有数のキャリアを持ち、撮影件数では世界的な記録を誇る。

 

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