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Vol.004 Panasonic AG-DVX200によるクラッシックバレエ収録

Grass Valley EDIUS Pro 8.2 で編集

この度、編集部から Panasonic AG-DVX200(以下:DVX200)をお借りする機会が得られた為、ちょうど撮影の予定が入っていたクラシックバレエの発表会にて投入することを計画した。
以前より舞台撮影に於いて4K で撮影して、それを HD編集プロジェクトでクロッピングして使ってみたいという考えがあった。
撮影体制は、カメラ3台にスタッフ2人。3台並びで設置するカメラのうち、センターには舞台全景を捉える無人の4Kカメラ。その左右にヨリやグループショットをそれぞれ狙う有人のHDカメラを2台という、スタンダードな体制での舞台撮影である。

全景カメラでHDカメラを使う従来の体制では演目や舞台上のレイアウトによって、都度サイズ(画角)を変える必要がある。私の場合、全景カメラは無人カメラとすることが多いので、現場ではズームデマンドを使うなどして、遠隔でコントロールしていた。しかし、4Kで撮影すればHD編集時に拡大や切り出しを行え、サイズ変えを後処理編集で行う事ができる。
既に4Kカメラを導入している方は、実践しているやり方だろうが、編集を含めてどれぐらいのパフォーマンスを得られるのか、今回試してみることにした。
また、さらに舞台を V-Logで撮るという試みも行っている。バレエなどは衣裳を丁寧に見せる事も求められるが、全体的に白い装束も多く、オートアイリスで行うと白飛びでディテールが失われてしまうという危険性もある。基本無人で放置しておきたい全景カメラだが、実際にはこまめに AEシフトを触ったり、場合によってはアイリスをマニュアルで対応するなど、結局は半有人状態で面倒を見ておくスタイルになりがちだ。
そこで、V-Log を用いて広いダイナミックレンジで舞台上を収めておき、編集時のカラーグレーディング作業で露出を適正化して、衣裳などのディテールを表現することは可能か試験してみた。
なお、PanasonicではDVX200の収録モードに対して、4096×2160pix(いわゆる、DCI 4K)を「4K」、3840×2160pix を「UHD」と呼称しているが、このレビューでは特に断りの無い限り、3840×2160pix(UHD)を 4Kと表記することとする。

■インプレッション
さて、舞台収録に入る前に DVX200 の使い勝手を検証してみたい。

・手持ちスタイル
既に、展示会などを含め何度か実物を目にしたことはあるが、やはりハンドヘルド機としては、最大級の大きさで手持ちカメラとしては限界のサイズ感だ。長時間の手持ち撮影はやりたくないと思ったのだが、意外と手持ちでも構えやすいスタイルになっている。バッテリーが本体格納になり、また筐体が大きな分、右肩に当てての撮影スタイルが取りやすい。あとは右手で包み込むグリップ部分(側面)にもう少し膨らみがあれば、手のひら全体で支えられ、手持ちの負担も軽減されるようになると思う。

・操作性
GAIN や ホワイトバランスは、それぞれ独立したトグルスイッチで、またDISPLAYの ON/OFF スイッチも同様だ。それらのトグルスイッチがDISPLAYスイッチを先頭にENGカメラと同じレイアウトになるため、ブラインド操作に戸惑うことがないのは嬉しい。
またズーム操作のマニュアルとサーボの切替スイッチが、カメラ側面の目視できる位置に付いているのも良い。ENGカメラのレンズと違い、ハンドヘルドクラスのカメラでズームのサーボ・マニュアル切替を必要とする機種は、その切替スイッチの位置が機種によってまちまちなので、ブラインド操作を要求されるスイッチの位置よりも、一目で確認できる位置にある方が、親切だ。
・液晶モニター
液晶モニターは、サイズが 4.3インチとハンドヘルド機では最大級。解像度も約276万pixと高精細な物を搭載している。  ENGクラスのカメラやハンドヘルドカメラで、いかに4Kのシビアなフォーカス合わせを支援していくか――というのは各社課題であるが、フォーカスアシスト系の機能をうまく使いながら、物理的に大型で解像度の高い液晶モニターに表示するというのはアドバンテージである。
実際の使用感としては、ピーキングの付き方が丁寧でフォーカスの山も捉えやすく、大型モニタープレビューしてもフォーカスのミスは殆ど無かった。ただ、快晴の屋外で使うには輝度が不足しているので、モニタフードを併用するか 有機ELのVF(177万pix)を覗くなどして対応したい。
4K時代は、このDVX200のモニターサイズを基準に、液晶モニターの大型化が進むかも知れない。

・進化するカメラ
DVX200の製品紹介ページをみてみると、こまめにファームウェアアップデートが発表されている。6月中旬現在でVer. 1.72(6月6日)が最新となっており、発売から月に1度ぐらいの頻度でアップデートが行われているようだ。不具合や動作安定性の改善などもあるが、ノイズの低減や色再現性の改善など画質に関わる改良や、ユーザーボタンへの割り当て機能の追加など、現場の声を反映したアップデートが行われている。こうしたカメラは所有しているユーザーのお得感は大きいだろう。

■実戦投入
では舞台撮影にDVX200を参戦させてみよう。
先にも記した様に、今回は V-Logを使ってクラシックバレエの舞台を撮る。撮影解像度は勿論4K (3840×2160pix)の60pである。バックアップとモニタリング用途に ATOMOS SHOGUN を併用。バックアップはダウンコンされた HD 1080 60p を収録。また、3D LUT を SHOGUNで当てて、Log映像を監視した。
DVX200のフレーミングは、舞台全景。HDでの切り出しをする事を念頭に、入念にフォーカスを取る。この際、DVX200の大型液晶は使い易く、拡大フォーカスも正確なフォーカシングを助けてくれる。拡大フォーカスは単純に中心部の拡大だけではなく任意の位置を拡大できる。舞台撮影の場合は全景においては画面のやや下方に演者が来るので、その場所に拡大フォーカスのポイントを持って行けるのは助かった。また、HD解像度の拡大ではあるが、SHOGUNでもフォーカスのチェックを2重に行い、確実な合焦を企図した。
DVX200は、レンズ光学設計上は28 mmのワイド端を持つのだが、それは HD収録の時で、4Kの場合DCI 4K(4096×2160)24p時:29.5 mm、4K(UHD) 30p時:30.6mm、4K(UHD) 60p時:37.2mmとフレームレートが上がる毎に画角が狭くなっていく。このように収録設定によって画角が変わるので、注意が必要である。特に 4K 60p の場合は現場によってはワイコンなどを併用したい。
舞台撮影に於いては、このワイド端の狭さは影響なく、イベント撮影や舞台撮影に特化して考えれば、光学13倍というレンズの短さの方が課題になるだろう。ただし今回の私の撮影用途に於いては、ワイド端も望遠端も全く問題ない。
収録メディアは、SDXC UHSスピードクラス3の 128GB を使用。収録可能時間は1時間55分と表示され、2時間近い撮影をカード1枚で可能であるのは舞台などの長尺物には非常に助かる。
なお、アイリスはオートアイリスとした。Log収録という物に対して、全く実践経験が無いので、正直どれが正解か分からなかった。カラーグレーディングを行うまで、果たして思っている結果が得られているのかどうか、非常に不安であった。

■編集とグレーディング
現場では特にトラブルもなく収録を完遂。いよいよ編集とグレーディングである。編集作業には Grass Valley EDIUS Pro 8.2 を使用。EDIUS Pro 8.2 からは、カラーグレーディング用のフィルター「プライマリーカラーコレクション」が搭載され、簡単にグレーディング処理を行えるようになった。
プライマリーカラーコレクションでは、各メーカーのLogに対応した LUTが用意されており、V-Logに対しても Rec.709を始めとする様々なプリセットカラースペースを当てることが出来る。しかし現状のEDIUSのセッティングだと V-Logに対する Rec.709 はクロマが高くビビッド過ぎる印象になるので、プリセットは利用せず手動で調整を行った。
V-Logの淡く薄い色合いの映像を見ていると、本当にここから色味やコントラストが出てくるのか不安になるが、グレーディングを始めるとしっかりと色が乗ってくる。心配していた白飛びも無く、真っ白な生地に細かく白い模様の施されたような衣裳でも、情報が残っており、グレーディングで任意のカラーに調整できる。
12 stops のダイナミックレンジのお陰で、明るい被写体と暗めの背景ドロップが1つの画面の中で両立しているのは感動だ。バックアップとして同じ画角を民生機(AVCHD)でも収めていたが、民生機のほうは被写体に露出が合っていると、背景が暗くて殆ど写っていない状態だった。(続きは2016年8月号へ)