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Vol.19 Panasonic AU-EVA1 実践インプレッション


コンパクトで軽量。本体重量は約1.2 kg。

最初に Panasonic AU-EVA1 (以下、EVA1)に出会ったのは、ラスベガスNAB2017の会場で、その時はまだベールに包まれ、概要は分からず、GH5 のシネマカメラスタイルか?VARICAM のダウングレードモデルか? レンズマウントは? と様々な憶測を展開したことを懐かしく思う。そして登場した EVA1 は、まさかのEF マウントを採⽤し、⾒た⽬はシンプルで、しかし中⾝は VARICAM の性能を引き継いだ静かなるモンスターであった。 今回、EVA1 をお借りするタイミングで、芸術系⼤学の卒業制作展インタビューの仕事が⼊っていたので、その現場で EVA1 を活⽤することにした。

■基本仕様■■■■■■■■■■■■
EVA1 は、イメージセンサーに5.7K スーパー35mm MOS センサーを採⽤する DCI 4K対応のコンパクトシネマカメラだ。⾼画素イメージャーからのダウンサンプリングにより、⾼い解像感を得られるのはSD やHD の時と同様だ。収録メディアは SDXC と汎⽤性のあるメディアで、カードの転送速度にも拠るが、最⼤4096×2160 4:2:2 10 bit 29.97pを400Mbps ALL-Intra codecで記録可能。(3⽉末のFW アップデートで実装)レンズマウントにはEF マウントを採⽤し、種類の豊富なEF レンズ群を活⽤することができる。
ダイナミックレンジは、VARICAM Look を継承する14 ストップを扱うV-Log を採⽤し、カラーグレーディングで威⼒を発揮するだろう。
上位機種譲りといえば、デュアルネイティブISO の採⽤が感度における悩みに光明をもたらす。標準感度がISO 800 と ISO2500 の2系統の専⽤アナログ回路実装することでゲインアップ(⾼ISO)時のノイズを低減し、⾼感度・低ノイズを実現させている。
そのほか、ハイフレームレート撮影も可能で4Kで最⼤60 fps、2Kで最⼤240 fpsの⾼速撮影が可能だ。

■現場投⼊■■■■■■■■■■■■

さて、今回の⼤学でのインタビュー映像は、VP 系統でお洒落に作ることが求められた。⼤判系カメラによる被写界深度の浅い映像を軸に、スライダーによる滑らかなトラックワークを組み合わせることで、雰囲気を醸成する。カメラ台数は3 台で、昨年の現場はCanon の 5D mk2 系の⼀眼レフカメラによる動画撮影であったが、今年は EVA1 をメインカメラに、Panasonic DC-GH5 と Canon 5D mk2をサブカメに据えた混成艦隊となった。
EVA1 には、レンズとして Canon EF24-70mm F2.8L II USM を使⽤。フォローフォーカスも取り付けている。三脚は Manfrotto Nitrotech N8、スライダー Libec ALX S8 という構成である。

今回のインタビュー映像は、1920×1080pix 23.97p を納品フォーマットとしているが、撮影では EVA1 とGH5を 4K(3840×2160pix)23.97p に設定し、編集で拡⼤やズーム処理を⾏う事を想定した。
映像のトーンは、奇を衒わないRec.709 系統のものにし、⾊温度のセッティングで雰囲気を出している。V-log 収録などで、カラーグレーディングを⾏う様な物にもしたいが、⽤意されている編集機や納期、またメーカー・機種混成のカメラ構成から、標準的な Rec.709 系でまとめることにした。撮影現場は⼤学の展⽰室で、⼀般的な博物館のように薄暗い室内照明をベースにして、作品に対して展⽰⽤の照明が当たっている環境。撮影側でLED 照明を3 灯持ち込み、インタビューを受ける学⽣とその作品に適宜照明を施している。
さて、EVA1 で撮影を始めるにあたって、各種カメラ設定を⾏う必要があったが、最初にメニューを開いて感じたのは、メニューが分かりやすくなっていること。EVA1 では浅いメニュー階層と覚えやすいカテゴリー分けが⾏われており、直ぐに⾃分が辿り着きたいメニューに⾏き着くことが出来た。撮影フォーマットや機能が豊富な EVA1 だけに、こうしたメニューの改善は重要で、ユーザーとしてありがたい。
カメラ本体の物理的なボタンやダイアルに⽬を移すと、筐体左側⾯のボタン類は⼤胆にシンプルで分かりやすい配置で、実際に運⽤してみると使いやすさを感じた。ND フィルタはボタン式で、アイリスはダイアル式だ。ホワイトバランスやISO の設定値選択には共通利⽤のマルチダイアルを使⽤し、トグルスイッチでホワイトバランス/USER/ISO(GAIN)を切り替えて利⽤する。ここの“USER”には[SHUTTER]や[FPS]が割り当てられる。右⼿グリップ部分にも、ユーザーボタンのほかダイアルが⽤意されており、ダイアル操作でメニューの項⽬遷移やアイリス調整が⾏える。今回は実践的に⼿持ち撮影をする機会が無かったが、ホールド感の⾼いグリップに仕上がっている。⼀⽅、ダイアルが⼩さく誤操作防⽌も兼ねてかグリップ本体からダイアルが⾶び出さない作りになっているので、グリップを握った状態で指先でダイアルを操作しても、回した感覚があまり伝わってこないので、ダイアルの回転量が分かりにくいかな、と感じる場⾯もあった。

液晶モニターは、約115 万pix の3.5 型液晶モニターでタッチパネル仕様だ。115 万pixということで、昨今の液晶モニターとしては⾼解像度とは⾔えないが、運⽤で困るような局⾯は無かった。

■EVA1 と実戦■■■■■■■■■

実際の撮影で EVA1 を使い始めてみると、その使いやすさがいたく気に⼊った。電源投⼊から収録体制に⼊るまでのセットアップまでの流れがスムーズだ。アイリスダイアルでアイリスを決めたら、その下のトグルスイッチでISO を選択しマルチダイアルで感度設定。そのままホワイトバランスにスイッチして⾊温度を決定。当たり前と⾔えば当たり前の操作だが、このあたりのダイアルやスイッチが良いポジションに集中しているので、指運びの導線が短くスムーズで、セットアップが⼿早く⾏える印象なのだ。
EVA1 の様なファンクションを都度切り替えからダイアル調整するようなカメラは、振り回しのENG ロケには向かないが、じっくりと画を決めながらカメラを据えられる現場では、集中的に操作できる感覚が馴染んだ。
そして、今回の運⽤の中で最も気に⼊った機能がフォーカスアシスト機能だ。EVA1 には、上位のVARICAM でも採⽤されている「フォーカススクエア表⽰」機能が搭載されている。
これはマトリクス状に配置された画⾯上の各ポイントで被写体にフォーカスが合っていれば、その部分の緑⾊の正⽅形が⼤きく表⽰されるというものだ。正⽅形は合焦度合で⼤きさが変化し、合っていれば⼤きく、合っていなければ⼩さく表⽰される。これが連続的に変化するため、フォーカス送りをしている際に、いまどのように合焦点が動いているのかをビジュアル的に把握できる。

以前から、Panasonic のフォーカスアシスト機能は使い易い性能を持っていた。従来のピーキング表⽰であってもシビアにフォーカスのピークを評価するので、⼩さい液晶画⾯でも信⽤できる精度だと思っていたのだが、このフォーカススクエア表⽰は更にフォーカス合わせをする上で使い易く実⽤的なものだと断⾔したい。
特に今回の撮影では、アイリスは F2.8 の開放で被写界深度を浅く取り、さらにスライダーを使って被写体との距離を微妙に変えたり、⼿前にナメ物を置いてフォーカス送りをしたり――と、フォーカス合わせがシビアな4K 撮影の中でも更に神経を使う撮影プランだったので、このフォーカススクエア表⽰がなければ難しい局⾯も多かったと思う。
是⾮、どんどん下位機種にも採⽤して欲しい機能だ。この精度の⾼いフォーカスアシスト機能のお陰で、115 万画素の液晶モニターであってもフォーカスを掴み損ねることはなかった。

その液晶モニターには遮光フードが標準装備されており、ワンモーションでフードの展開と収納が⾏える。屋外は勿論、屋内であっても余計な映り込みを防ぐことができ、また画⾯に集中できるので標準装備されていることは嬉しい。液晶モニターは、取り付けアタッチメントにより、ハンドル部に設けられている4 箇所のアクセサリー取付部に取り付けられる。撮影スタイルに合わせて液晶モニターの位置を変えることができ、レイアウトの⾃由度は⾼い。使っていて気になった事と⾔えば、Rec 中のタリーランプが分かりにくい事だろうか。カメラ本体には、演者⽤にカメラ前⽅に1つと、SDXC カードスロットの下の部分…つまりカメラ後⽅下部に1つタリーランプが⽤意されている。あとは液晶画⾯内の表⽰によって録画中かどうかが分かるのだが、さらにカメラを構えた時にパッとみて録画中かどうか分かるタリー表⽰がカメラ本体の⾒やすい箇所にあれば、なお良かったかなと感じた。例えば、カメラ本体の録画ボタンが⾚い縁取りを施された意匠なので、ここが仄かに光るようなデザインが収まりも良いのではないだろうか。

■まとめ■■■■■■■■■■■■■
今回の撮影では、EVA1 に搭載されている機能を網羅的に使うことはできなかったが、⽬の前の仕事に必要な機能は集中的に使ってみた。メーカーによってあるいは機種によって、そのカメラの流儀みたいなものが少なからずあるが、EVA1 はスムーズに⾃分の中に受け⼊れられるシンプルさと多機能さを兼ね備えていると思った。
記事執筆のため、過去にも幾つかのカメラをお借りしてきたが、AU-EVA1 は久々に⾃分で所有したい!欲しい!と思わせるカメラだった。(宏哉)