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Vol.016 SONY PXW-Z90ファーストインプレッション


SONY PXW-Z90

4K という⾼解像度映像の規格が業務・家庭⽤問わずカジュアル化し、ビデオカメラが4K対応であることは、特別な事ではなくなった。各社ともに新機種は 4K でのラインアップを充実させてきており、解像度以外での機能と性能で訴求を⾼めていく時分に突⼊している。今回は SONY PXW-Z90 をお借りすることができたので、そのファーストインプレッションを記したい。なお、今回お借りした機体は最終版では無いため、詳細な画質評価は⾏わないものとする。
■基本仕様
SONY PXW-Z90 は、4K 撮影に対応する⼩型の XDCAM メモリーカムコーダーだ。1.0 型積層型CMOS イメージセンサーを搭載し、最⼤ 4K 30p 収録に対応する。⼩型カムコーダーながら、4K HDR 機能が充実しており、HDR で必要となるカラーグレーディングなどのポスプロ作業を軽減する「インスタントHDR」に対応。HLG⽅式を採⽤し、対応するテレビと組み合わせて再⽣することで、簡単にHDR 映像を得ることができる。また、S-Log3/S-Gamut3 などでのLog 収録も⾏えるため、広⾊域と広いダイナミックレンジを活かしたカラーディグレーディング処理のポスプロ⼯程まで⾒据えることができる仕様となっている。オートフォーカスシステムも進化しており、ファストハイブリッドAF システムを採⽤。位相差検出⽅式とコントラスト検出⽅式を組み合わせ、イメージセンサーには 273 点の像⾯位相差検出AF センサーを配置することで、画⾯の広い範囲で追随性に優れた素早いオートフォーカス処理を実現しているという。そのイメージセンサーには、約1420 万画素の1.0 型積層型CMOS イメージセンサーExmor RS を採⽤。レンズは、広⾓f=29.0mm(35mm 換算) からの ZEISS バリオ・ゾナーTレンズで、光学12 倍ズームとなっている。記録メディアはメモリスティックPRO デュオ と SD カードで、デュアルスロットを備える。記録フォーマットは XAVC、AVCHD 等となっている。出⼒端⼦系は、3G-SDI とHDMI を搭載。3G-SDI からは 1080 60p などの出⼒が可能。HDMI からは 4K 30p 信号が出⼒できる。HDMI にはタイムコードの他にREC トリガーも重畳されているので、外部レコーダーとの連携も取りやすい。

■フィールドテスト
今回のデモ機の借⽤期間中に、実践に投⼊する機会が得られなかったため、現場に持ち出して簡単な撮影テストを⾏ってみた。
最初にPXW-Z90 を⼿にして思ったのは、そのハンドリングの良さだ。サイズは、幅130× ⾼さ181.5 × 奥⾏287.0mm(レンズフード・⼤型アイカップ含む)で、両⼿でしっかりと構えることができるサイズ感だ。テレビ業界の場合、このクラスのビデオカメラは、専業のカメラマンが使⽤するというよりは、記者やディレクターが使うことが多い。報道では数年前までは SONY HVR-A1J クラス、最近では PXW-X70 が使われていたが、このPXW-Z90はその上位機種という位置付けになる。また、バラエティーなどではディレクター⾃⾝が HXR-NX3 などを振り回すことが多いが、やはりそのクラスは持て余している感もあったので、この PXW-Z90 は記者やディレクター向きの扱いやすいサイズだと思う。⼀⽅でカメラマンが使⽤する場⾯も考えた場合、PXW-Z90 はマニュアル操作に必要なダイアルやボタンも充実している。ASSIGNボタンは6つ⽤意されており、⼿持ち撮影している時にカメラをグリップしている右⼿でも操作しやすい位置に、拡⼤フォーカスやアイリスプッシュオートのボタンが配置されているのは、使い易かった。レンズ部分に備わっている⼤型のリングはズームとフォーカスを切り替えて使う⽅式で、そのリングの下に備わった⼩型のリングがアイリスなどの露出調整ダイアルだ。こういったダイアルリングの操作フィーリングはカメラマンとしては⼀番気になる部分で、テストでも⼊念にチェックした。ズームリングとして使った場合は、ダイアルの回転⾓に対して、ズームの移動が感覚的に遅く、リングだけで素早く求めている画⾓に調整するのはあまり向いていない様に思った。リングの動きは上質な重みがあるので、マニュアルフォーカス調整は気持ちが良い。今回、いろいろセッティングしていて、私としてはズーム操作はズームレバー、フォーカス操作は⼤型リングでというのが使い易いと思った。三脚利⽤時は、REMOTE 端⼦にズ−ムデマンドを繋いで使⽤するのが良いだろう。ズーム操作では、PXW-Z90 は超解像ズーム機能が搭載されている。4K 使⽤時で18 倍、HD 使⽤時なら24 倍までのズームが可能になる。光学ズームから超解像ズームへの遷移も⾃然で、プレビューしていてもほとんどその境⽬が分からない。画質も⼗分保たれており「あとひとヨリしたい」と⾔うときには4K でも積極的に使っていけるだろう。また、今回は屋外でのロケーションでもテストをしたので、液晶モニターの⾒え⽅も検証してみた。液晶モニターは3.5 型ワイド液晶モニターで約156 万ドット。明るく、屋外でも⼗分な視認性を持っている。ピーキング表⽰や拡⼤フォーカスと併⽤しながらしっかりとフォーカスを決めることができた。また、HLG 撮影を⾏っている場合は、モニターアシスト機能で、BT.2020 相当で映り⽅のチェックもできる。
⼀⽅、ビューファインダーは約236 万ドット相当の有機EL パネルを採⽤しているため、精細で⾼コントラストと⾒やすい。屋外などでは積極的にビューファインダーも活⽤して⾏きたい。
今回テストできなかった機能として、個⼈的に気になっているのは、PXW-Z90 から新機能として搭載される「ワイヤレスTC リンク」。有償のアップグレードライセンス「CBKZ-WTCL」が必要となるが、専⽤のスマホアプリを利⽤して、複数のカメラ間のタイムコードの同期が可能になる。
今のところワイヤレスTC リンクを採⽤しているのは PXW-Z90とHXR-NX80だが、今後 SONY 製の業務⽤ビデオカメラで標準搭載となれば、同⼀機種だけでなく、メイン機/サブ機間でもタイムコードを揃えることが可能になり、複数台でのバラエティーロケやマルチカムによるイベント収録などの編集が楽になるだろう。

■まとめ
私は⽇頃はなかなかこのクラスのカメラを触ることがないので、現⾏機種の PXW-X70などとの⽐較はできないのだが、⼩型カムコーダーながらマニュアル操作の⾏いやすい機体に仕上がっていると感じた。そして⼩型でありながらも HDR へ対するアプローチもしっかりと組み込まれており、HLG やS-Log といった規格が、機材的にはハードルの⾼いものではなくなってきている事に、カメラマンとしては焦りすら覚えた。HDR がカジュアルになっていく過程の、PXW-Z90 は試⾦⽯となるかもしれない。(宏哉)