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Vol.025 SONY PXW-Z280 試⽤レビュー

ミドルレンジでの4K カメラが初めて登場してから数年。当初、4Kカメラは1インチを超える撮像素⼦を搭載する⼤判カメラとして各社ラインナップを揃えてきた。それらが⾒せる映像は、⾮常に⾼精細で美しく品位の⾼い物であったが、スチル⽤レンズやシネマ⽤レンズを併⽤するそれらのカメラは、ENG 的な振り回し業務には少し馴染みにくいハンドリングだった。所謂「街のビデオ屋」や「テレビENG」のフィールドで求められていたのが、固定レンズ式のハンドヘルド型ビデオカメラ――所謂「デジ」の4K カメラだった。その決定打とも⾔えるカメラが SONY PXW-Z280 だ。
■イメージセンサー
SONY PXW-Z280 は新開発の1/2 インチ 4K ExmorR 3CMOS センサーを搭載。感度はF12(2000lux)を実現しており、従来HD機である PXW-X200と同等の明るさを持つ。
4K カメラになると、同レンジのHD 機に対しては暗くなってしまうという覚悟をしていたのだが、4Kで撮影する際も従来の明るさの感覚で利⽤できるのは嬉しい(※High Sensitivity Mode を利⽤)。

■収録メディア
メディアは、SxS メモリカードで、 4K 60p(3840×2160 pix/59.94p)にて XAVC Intra/XAVC Long 収録が⾏えるほか、MPEG HD 422 などでのHD 収録が可能。4K を XAVC-Lで収録する場合は SxS-1/Pro/Pro+ とカードアダプタを介してXQD カードが対応する。ただし、XAVC-I での4K 収録時は SxS Pro+ のみ対応となる。

■レンズ
レンズは光学17 倍ズームレンズを搭載。これもHD 機のX200 と同倍率だ。舞台撮影などには少し望遠が⾜りない事もあるが、無理をして倍率を上げてくるよりは画質を重視して光学17 倍というスペックに収めている事にむしろ安⼼感を覚える。ただし、焦点距離は少し変化し、35mm 換算で30.3-515mm となり、X200 と⽐べるとワイド端が1.0mm 望遠にシフトしている。

■⾳声⼊⼒
Z280 には4K 60p ハンドヘルドカメラという特徴よりも、ある意味さらにインパクトの⼤きい機能が搭載されている。それが⾳声4ch 独⽴⼊⼒への対応だ。従来ハンドヘルド機でも⾳声の4ch 収録には対応していたが、全チャンネル外部⼊⼒対応というのは、初めてではないだろうか? Z280 には、2 系統のXLR ⼊⼒のほかに MI シューによる対応⾳声機器からの⼊⼒に対応する。MI シューとの併⽤により XLR(2CH)+別売MI シュー対応ワイヤレスレシーバー(2CH)といった組み合わせが可能になる。また、SONY の公式サポートはないが、同社のデジタル⼀眼⽤のXLR アダプターキット“XLR-K2M”を使えば、MI シュー経由でプラス2 系統のXLR ⼊⼒を⾏う事が可能になり、XLR による外部⼊⼒を最⼤4系統確保できることになる。勿論、カメラ内蔵マイクも利⽤できるので、外部⾳声、ワイヤレスマイク、内蔵マイクを⾃由に組み合わせて4 チャンネル分の⾳声収録をカメラ1 台でプラニングできるのは、現場で⼤きな威⼒を発揮するだろう。⾳声モニタリングも、各チャンネル個別、ミックスなどをメニューから選択できる。

■接続端⼦
HDMI 端⼦の他12G SDI を搭載することで 4K 60p の出⼒に対応する。また、有線LAN端⼦(RJ-45)も装備している。これらの端⼦群は、今後のビデオカメラには必需となるだろう。Z280 では有線LAN の他にも Wi-Fi 接続にも対応し、ネットワーク機能を利⽤して専⽤アプリによるリモートコントロールやストリーミング、ファイル転送に対応する。
■使⽤感
デモ機をお借りしている期間中に実際に現場に投⼊する機会があった。そのときの使⽤感、ファーストインプレッションをお伝えしたい。ただし、オンエアフォーマットと編集の関係上 1080i による収録である。また、今回は4KやHDでの⼗分な画質評価を⾏えるまでのテストが⾏えなかったため、画質についての評価は明⾔しない。まず、⼿持ち撮影した際の感想だ。現⾏HD モデル PXW-X200 よりも筐体サイズはやや⼤型化。本体重量も200g 増だが、グリップ形状の⾒直しで⽚⼿でもホールドしやすくなっており、またグリップ部を重⼼のあるカメラ中央へ寄せたことにより安定感が増している。今回の撮影ではサードパーティー製のワイコンもつけての収録だったが、X200 の時よりも重く感じたり疲れが出やすいという事も無く、数字ほどの重量増は感じなかった。
さらに、液晶モニター部分がやや前⽅にシフトしたおかげで、⼿持ちで撮影する際のホールド性能や視認性、ハンドリングなどは、スペック表からは分かりにくいが確実に向上していると感じた。その液晶パネルは、3.5 インチ156 万画素で、このサイズの液晶モニターとしては⼗分すぎる解像度だ。屋内外問わず画⾯は⾒やすく、フォーカシングでも困ることは無かった。 内部メニューに関しては、⽇本語メニューに対応。また、上位ENG カメラに迫る設定項⽬の多さで、画質調整や使い込み甲斐のあるカメラに仕上がっている。細かい事だが、センターマーカーが X200 よりも豊富になり、好みや撮影状況に応じたレティクルを選択できるのは嬉しい。
ホワイトバランスのプリセット⾊温度をZ280 ではホワイトバランスのトグルスイッチがプリセット位置にあるときに AWB ボタンで設定値をダイレクトに変更できるようになった事が現場では助かる。勿論、従来のPreset White Select をアサイナブルボタンに割り当てることも可能だ。そのアサイナブルボタンも10 個に増えてカスタマイズの⾃由度が従来機より向上し、割り当て可能な機能も増えている。ただ残念だったのがフロントボトム部のホワイトバランスボタン セットボタンが機能固定だったこと。この位置のボタンは三脚利⽤時のREC ボタンとして私は使いたいので、アサイナブルボタンとしてREC 機能を割り当てられるとなお良かった。ただし、代替策として最寄りのボタン9にREC 機能を割り当て運⽤したところ、問題ない使い勝⼿だった。現状の仕様でも⼗分に対応できそうだ。現場で使っていて、いくつか気になることもあった。まずは、マニュアルフォーカスリングの引っかかりだ。これはX200 やその前の PMW-200 でもそうだったのだが、このカメラシリーズのフォーカスリングは動きに滑らかさが⾜りないと感じる。⼤きくフォーカスリングを回す分にはいいのだが、接写などでわずかにフォーカスを送ったりしたいときは、その微妙な移動量を実現できない。フォーカスリングを少しだけ動かしたくても、リングに引っかかりがあって思い通りに動かせない。もしくはカメラ⾃体に⼒が掛かって画⾓が動いてしまう。レンズ部分にホームポジションで左⼿を掛けながら、⼩指で少しフォーカスを動かす…という繊細なフォーカスワークができないのは、Z280 でも変わっていない。
また、⾳声切替や可変ND フィルター機能を使う為のスイッチ群のカレントポジションがややわかりにくい。スイッチが⼩さい上に3 ポジションスイッチが多く、またスイッチ上部に⽩いラインは⼊っているものの⿊い筐体ベースに⿊いスイッチなので、いまどのポジションにスイッチが⼊っているのかが視認しづらいのだ。PMW-EX1 から PMW-EX1Rのバージョンアップのように、スイッチの底部をオレンジ⾊などにして、カレントポジションがわかりやすくする⼯夫が欲しかった。ただ、⾳声系のスイッチが全てカメラマン側に集約された為、⾳声⼊⼒の管理と把握がしやすく、使い勝⼿は向上している。さらに、イヤフォンによるオーディオモニタリングチャンネル切り替えもメニュー選択によるのは残念。4ch 中どのチャンネルを聞くのか?どうミックスするのか?という選択肢が増えたため致し⽅ない部分ではあり、コストの問題もあるのだが、ENG カメラのように外部のスイッチで切り替えが実現していれば、なお現場での使い勝⼿は良かっただろう。

■まとめ
PXW-Z280 は、従来のデジによる撮影スタイルそのままに、4K 60p での収録体制に切り替えることができる、まさに求めていたカメラだ。今回のロケでも、特段オペレーションに⼾惑うところは無く、Z280 だからといって不⾜を感じるような場⾯も無かった。ここ数年の SONY のデジは少しラインナップ的にも迷⾛感があったり決定打が無いと感じていたが、PXW-Z280 はようやく本命が出てきたと久々に興奮するカメラだ。(宏哉)