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東日本大震災〜「写真」にまつわる話

東日本大震災に関するニュースの洪水の中で4月以降際立って目に付くのが「写真」にまつわる話だ。

私も4月中旬に現地取材で東北各地を歩いてきたが、仙台・若林避難所のロビーに津波で流失した写真をボランティアが回収、補修して展示している風景を見てきた。3月末に、南三陸町でボランティアの「思い出探し隊」が写真回収を始めてから、この作業が各地で実行されていったようだ。子どもの誕生からはじまる成長の記録、入学・卒業式、結婚式などの記念写真、夫婦や家族との旅行写真、家庭に保管されていたありとあらゆる写真が冠水し、持ち主の手から離れてしまった。

富士写真フィルムは震災後に「写真救済プロジェクト」を立ち上げ、ホームページ上で流失写真の補修方法を解説している。宮城の七ヶ浜町では、ボランティアが集めた5万枚にも及ぶ回収写真を公開して持ち主に戻すため農業用ビニールハウスを回収写真の「思い出ハウス」にしたそうだ。

デジカメの普及で、若い人たちの間では、写真はパソコンやデジタルフレームで見るものという雰囲気があったが、3.11以降、印画紙に焼き付けられた写真の味が見直されてきたように思う。そんな折、写真家塚原琢哉の写真展「The Garden」(6月17日~30日)の案内を手にした。下町の玄関先や路地の狭い空間で丹精こめて草花を育てる日本庶民の感性が、独特の現像処理技術で選ばれた紙に焼き付けられている作品が公開される。東北の被災地で人生の記録メディアとして写真が再認識されていることと、塚原さんの写真展の案内とを重ねてみて、写真と人間のかかわりの深さを改めて思った。