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Vol.022 SKIPシティ 映像学習プログラムシンポジウム

想像と想作 未来を拓く子ども達の映像制作

2011年10月30日に川口市にあるSKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム(以下:SKIPシティ)にて映像学習プログラムシンポジウムが開催されました。SKIPシティは2003年に開館されたミュージアムです。映像の歴史、制作のプロセスなどが展示で学べ、スタジオなど制作体験もできます。また埼玉県内の小・中学生を対象に「映像学習プログラム」を実施しています。私も学生時代はそのインストラクターを務めていました。

シンポジウムは二部構成で、各地で行われている事例報告と、「映像教育の可能性とこれから」というテーマでパネルディスカッションが行われました。来場者は、一般の方ほか、川口市教育委員会、教育関係者(小学校教諭など)、埼玉県担当者、映像を専攻する大学生などです。今回はその内容をリポートします。

 

第一部 事例紹介と作品上映「全国に広がる映像教育の現場から」


4つの地域(札幌・川崎・沖縄・金沢)の取り組みが紹介され、ワークショップで制作した作品も一部上映されました。

 

・金沢:土肥悦子氏(金沢シネモンド代表)「こども映画教室」について
・沖縄:林田志保氏(桜坂劇場スタッフ)ワラビンチャーフェスティバル「映画をつくろう」について
・川崎:齋藤正氏(川崎市役所)小学校での映像学習の取り組みについて
・札幌:中島洋氏(シアターキノ代表)、大澤夏美氏(子ども映画制作ワークショップ スタッフ)子ども映画制作ワークショップについて
•埼玉:鈴木みどり氏(SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム マネージャー)2003年からはじめた映像学習プログラムの報告

 

各地の事例紹介の後、上記登壇者のディスカッションが行われました。また今年8月、SKIPシティが香川県高松市のe-とぴあ・かがわで行った「映像学習ワークショップ」に参加した子どもたちとインターネット回線でライブ中継し、楽しかったところ、工夫したところなどインタビューが行われました。高松市立新番丁小学校校長の田中光先生から「楽しく有意義な学習体験になったと思う。実際に学校の授業のカリキュラムに取り込むのは難しいかもしれないが、郷土教育「高松学習」の中に取り込んでいけるのではないか。子どもたちには映像制作の専門知識や専門機材などに触れる『本物の体験』が大切だ。」と話していました。ディスカッションでは、映像制作ワークショップが子どもたちにとって「自己表現する場」として機能していることや、それをサポートする若い世代の人材育成の場となっていることなどが語られました。

 

第二部パネルディスカッション「映像教育の可能性とこれから」


小宮悦子氏(テレビキャスター)、松野良一氏(中央大学総合政策部教授)、渡辺真由子氏(メディアジャーナリスト)の3名によるパネルディスカッション。まず松野氏より「子ども放送局」の取り組みについて紹介。松野氏は「映像制作は、自分の努力が見えるかたちになって、その成果を甘受することができるので自己効力感を得られる。」と語りました。「自己効力感」とは、心理学の用語で、自身がある目標に対し、その課題を解決し達成できる能力があるという感覚のことです。

その他、映像制作を公教育へ導入する意義、「演出とやらせ」の違い、地上波テレビはいまだに視聴率至上であり、ニュース、コンテンツはその基準で選択されていること、メディアはコントロールを受けている事実を知るということが重要、ということが議論されました。

 

シンポジウムに参加して…


各ワークショップでの映像作品が見られて、どの作品のその地域性(場所性)が出ていて興味深かったです。言葉、海、建物、それだけで絵になります。このように各地域で子どもたちの映像作品が増えたら地域のアーカイブとして貴重なものになっていくのではないでしょうか。しかしどの取り組みも、資金と人材の問題を抱えていました。映像学習が有意義なものとして認知されていくためには、教育的効果を学術的に測定する必要があると感じました。映像制作をすると、子どもたちには「ひとつのことをみんなと成し遂げた」という達成感が強いです。映像制作はそれだけで子どもにとっては楽しく、学習というよりは「ごっこ遊び」で終わってしまう危うさがあります。最後のディスカッションは、テレビの制作現場と視聴率のような話が中心になったので、「映像」「子ども」「地域」というキーワードで議論を深めていく必要があると感じました。。

 

▼参考URL
SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ

e-とぴあ・かがわ